ペットの鳥が健康的な生活を送るには、野鳥の生活を見習って、ある程度緊張状態の環境下に置くことが大切だという話を過去の記事でたくさんしてきました。
緊張状態ってどうやって作り出すの?と言うと、それは色々な手段を使って鳥たちに外敵の存在を感じさせるということです。
鳥たちが、『なにあれ?なんか怖い!』と感じるようなものを周囲に置いたり、聞き慣れない音を出してみたり、そういったビビらせるようなことをすれば良いのです。
そうすることにより、過発情や毛引きなどが抑えられる可能性が高まります。
ビビりたくない哺乳類
けれど私たち人間にとっては、どうしてもこの『ビビらせる』という行為が『鳥たちのためになる』と理解し難いようです。
ビビること=良いことといった考えはあまりにも哺乳類の習性とかけ離れているので、結びつけることが難しいのですね。
特に、気持ちの優しい飼い主さんであればあるほど『愛鳥をビビらせるなんて可哀想でできるハズがない!』と思いがちです。
そして、そういった飼い主さんほど発情対策をしたくても思うようにできずに、過剰産卵をさせてしまったり婦人科系の病気にさせてしまう…といった事態に陥りやすいのです。
愛情は溢れるほどあるのに病気にさせてしまうなんて、飼い主さんにとってもすごく辛いことですよね。
そこで今回の記事では、『こう考えれば少し発情対策に対する気持ちが楽になるかもしれない!』という、ひとつの考え方をお伝えしていこうと思います。
発情対策の助けになる考え方とは
それは、鳥類は予測不能なことが大好き!という考え方です。
彼ら鳥にとっては、未知の出来事や予想もしていなかった事態が楽しくてたまらないんだ!
と、そう考えてみるのです。
人間にだってそういった感覚がまるでないわけではありません。
昔から『怖いもの見たさ』という言葉はありますし、単調すぎる毎日は退屈でしょう?
ドキドキワクワクする感覚が、楽しく生きていくためには必要だと思います。
ドキドキするということは、心が緊張状態にあるということです。
知らない場所へ行くとワクワクするし、
怖いテレビ番組なんかをわざわざ観たくなるときがあるよ!
ただし人間には休息の時間が絶対に必要で、絶え間ないドキドキには耐えられません。
疲れ果ててしまいます。
そこが鳥類とは違うところで、鳥類は24時間緊張状態にあることが問題にはならないのです。
これはあくまで精神的なお話で、もちろん24時間緊張する出来事が『起こりっぱなし』だったら、精神は大丈夫でも身体が持ちませんよね。
でも現実には24時間ドキドキするような出来事が起こりっぱなしということはまずありませんので、必ず安全な時間が存在し、その間に鳥たちも身体を休めることは十分にできます。
鳥たちに必要なのは、精神的な休息ではなく身体的な休息なのです。
ビビらせるわけではない、サプライズを送っている!
ビビらせるというと、なんだか嫌がらせやイジメをしているようで気が引けます。
なので、サプライズな出来事を毎日お届けする!と考えてみるのは如何でしょうか?
彼らは、激流下り……ラフティングのような毎日が好きなのです。
いいや、そんなことはない!
うちの鳥はマッタッリしたり、どこかに籠もることが好きだよ!
と、そんなふうに感じるとしたら、それは『繁殖』という本能が引き出されている状態だからというのが理由です。
繁殖期にその本能が芽を出すのは問題ないですが、過発情というのは繁殖期以外にも発情している状態のことです。
鳥たちがマッタリしたいのは、人間と違って『リラックスしたい、心を休ませたい』という思いからではなく、『子供を産みたい』という思いからなのだということを強く意識しましょう。
発情対策とは、その『子供を産みたい』という思いを潰していくことなのです。
実践を動画で紹介
ここで、具体的に私がどのように愛鳥にサプライズをお届けしているかを一部動画で紹介したいと思います。
なにか特別なことをしているわけではなく、ほんとにささやかな『おどろき』を毎日与えています。
もしよければ参考にしてみてください。
ひとつ注意がありまして、それは肉体的にダメージを与えるようなことは絶対にしない!ということです。
当たり前の話ではありますが、このような内容を記事にすると虐待などを推奨していると勘違いされる懸念がありますので、この場で強く申し上げておきます。
自由にやりたいのは誰なのか?ということを考える
飼い主さんの中には、『鳥自身がマッタリしたいたいと思っているのに、自由にさせてあげないのは可哀想!』と考える方がいるようです。
けれどそれは違います。
そもそも人間と同じ環境下で暮らすこと自体が、彼らにとってはとても不自然なことなのです。
不自然な生活の中で、人間が全くコントロールせずに彼らを自由気ままにしていては、不自然さが加速するだけです。
鳥たちの行動に制限をかけているのではありません。
正しい習性に戻してあげようとしてるのだ…と考えてみては如何でしょうか。
ちょっと厳しいことを書きますが、自由にできなくて辛いのは誰なのでしょう?
それは鳥ではなく飼い主さん側かもしれません。
もちろん、過発情や肥満、毛引きなどについて特に悩んでいないということであれば、今まで通りの生活で全く問題ありません。
けれどこの記事にたどり着いた方というのは、少なからず飼い鳥の問題に悩んでいる方たちなのではないでしょうか。
であれば、哺乳類の考え方を変えて鳥類の習性にフォーカスしていく必要があります。
大きいクマのぬいぐるみをそっと近くに置いてみるよ…!