メスの鳥は、オスがいなくても卵を産むことがあります。
いわゆる無精卵というやつですね。
この無精卵は、百害あって一利なし!
栄養やカルシウムが失われますし、卵詰まりの可能性も出てきます。
良いことは何ひとつありませんのでできれば産ませないほうが賢明です。
このことは、女の子の鳥を飼っている人であれば大抵の人は知っていると思います。
それに比べて、いまいち認知度が低いのが持続発情の危険性についてです。
卵を産まなければ問題ないと考えている人が多いようですが、そうではありません。
今回は、持続発情の危険性と発情の兆候をお伝えしていきます。
発情抑制とは、ポーズを止めさせれば良いわけではない
メス鳥というのは、発情モードに入るとポーズを取ります。
例えばオカメインコ。
オカメインコは、キュキュキュと鳴きながら前かがみの姿勢になり、お尻を上げてポーズを取ります。
セキセイインコの場合は、シャチホコのポーズなんて言われていますね。
これは発見したらすぐに止めさせなければなりませんが、実はこのポーズを取り始めたら発情状態としては末期と考えて良いです。
このポーズをする前に、必ず発情の兆候というのがありますので注意してください。
それは以下の3つとなります。
・執着心
・攻撃性
・溜めフン
それぞれ順番に解説をしていきます。
メスの鳥が見せる3つの発情行動
その1:執着心
鳥類は、その習性から本来『場所』に執着心を持ちません。
哺乳類とは違い『この場所を誰かに取られたくない』とか、『居場所に侵入される恐怖』というものを持ち合わせてはいないのです。
外敵が自分のいる場所に侵入してきたら、通常はただその場から逃げて離れるだけです。
猛禽類やカラスのような『捕食する側』の鳥についてはわかりませんが、少なくともいつ外敵に襲われるかわからない生活をしている小鳥に関してはみな同じことが言えます。
ところが、鳥たちはそこを『巣』だと思い始めると、途端に誰にも手渡したくないと考えるようになります。
そしてその場から離れたがらなくなります。
これが執着心です。
巣というのは、彼女たちにとって『卵を産める』と判断された場所。
卵を産めると判断したとき、初めて彼女たちは発情の準備をします。
発情してから執着心を持つのではなく、執着心が生まれて発情する。
つまり、執着心を持つということはそこから発情に進むサインということなのです。
その2:攻撃性
場所に執着心を抱き始めると、メスの鳥は次第に攻撃性を見せるようになります。
巣を誰にも手渡したくないので攻撃的になるのです。
雛を守っているお母さん鳥が威嚇してくるのと同じ状態です。
もし、あなたがケージの中に手を入れたときに、鳥が威嚇するように攻撃をしてきたらそれは立派な発情行動です。
今その子が足をつけているその場所は『巣』になっているのだと認識しましょう。
ケージ以外の場所でも同様です。
その3:溜めフン
メスの鳥は、『巣』だと思っている場所にはフンをしない傾向があります。
長居するその場所を、フンで汚したくないからです。
そこで、別の場所へ移動したときに今まで溜めていたフンをいっきに出します。
仮にケージの中を『巣』だと思っている場合、ケージ内とケージ外でフンの大きさに違いが生じます。
『巣』であるケージ内は汚したくないという気持ちが働き、フンは溜めがちで大きくなります。
逆にケージの外では頻繁にフンを出すので小さめになります。
(ただし、ケージから出て一発目に出すフンは溜めフンなので大きいフンとなります。)
フンは小さくコロコロしていて、回数は多ければ多いいほど良いと考えてください。
オカメインコで、だいたい女性の小指の爪半分ぐらいのサイズが通常のサイズとなります。
それより大きいと、少なくとも2回分以上は溜めて出していることになります。
溜めフンについては、夜寝ているときにもするそうです。
ねぐらを外敵に特定されないため、起きるまでフンを溜めておく傾向があるそうです。
朝起きたときに溜めフンをするのは発情とは無関係で、正常な状態だと言えます。
また、この場合の溜めフンはオスでもする可能性があります。
3つの発情行動を阻止!という視点で抑制する
私のかかりつけだった獣医は、
『これらの行動を取っていたらそれはもう発情状態であり、ポーズを取るというのはすでに発情の最終段階』
と解説していました。
これらの行動は、本来であれば繁殖期以外やらないのが普通ということですね。
持続発情を抑えるには、これら3つがすべてが発情行動なのだと知っておく必要があります。
そして、可能な限りこの3つの行動を阻止する必要があります。
『発情のポーズをしているところを見かけたら止めさせればいいや』では持続発情は抑制できません。
阻止する方法については、下記の記事でも簡単に解説していますので併せてお読みください。
持続発情の怖い点は、頻繁に繰り返される換羽にあり
持続発情の問題でまず上げられるのは、婦人科系の病気に罹りやすいということです。
どんなものがあるかはネットでお調べいただければすぐに見つかると思いますが、いずれにしても一度罹ってしまうと完治させるのが難しい病気ばかりです。
そしてもうひとつ、飼育本などではほとんど扱われていない重要な問題があります。
それは頻繁に換羽を繰り返すということ。
通常、換羽期というのは発情期が終わるとやってきます。
野生の鳥は、春と秋の2回にわたって発情期があり、その発情期が終了したあと換羽期に突入します。
なので、換羽の回数も発情の回数と同じ2回ということになります。
頻繁に換羽がやってくるということは、その分だけも発情しているということ。
発情なき換羽は存在しません。
発情状態のときも換羽のときも肝臓に負担がかかるので、換羽を繰り返すということは実は肝臓に大きなダメージを与えているということになるのです。
まとめ
・産卵したことがなくても、発情している可能性は十分にある
・発情行動には、執着心・攻撃性・溜めフンの3つがある
・3つの行動を知って持続発情を阻止しよう
・持続発情は肝臓にとても負担がかかる
以上のことから、メスの鳥は特に気をつけなければなりませんが、オスの鳥は気にしなくてもいいのかというとそうではありません。
過発情というのはオスにとっても決していいことではありませんので、習性を理解してなるべく阻止するようにしましょう。